武田薬品工業湘南ヘルスイノベーションパーク
Photo by Masataka Tsuchimoto

落下傘の外国人幹部から「生産性が低い」と罵られ、大リストラが断行された武田薬品工業の国内研究所。研究員は意気消沈中かと思いきや、“超久々”に自社創製で大型化するかもしれない新薬の芽が出てきて、密かに活気付いている。(ダイヤモンド編集部 土本匡孝)

初期の臨床試験で良好なデータ

 製薬最大手、武田薬品工業の注目の新薬候補はナルコレプシー治療薬「TAK‐925」。ナルコレプシーは居眠り病とも言われ、日中に居眠りを繰り返したり、喜怒哀楽の感情が激しい時に顔や首、手足の力が急に抜けたりする慢性の神経疾患だ。病気を理解されず、退職や転職を余儀なくされる人も少なくない。患者は世界で約300万人と推計されている。

 医療用医薬品が市場に出てくるまでには3段階の臨床試験(臨床第1~3相試験)を経ることが必要だが、この薬は臨床第1相試験中。その有効性データが9月下旬にカナダ・バンクーバーであった世界睡眠学会で発表され、良好な数字が示されたのだ。

 具体的には、ナルコレプシー患者にTAK‐925またはプラセボ(偽薬)を投与し覚醒維持検査をしたところ、プラセボ投与の13人では平均2.9分で入眠したのに対し、TAK‐925投与の14人では投与分量によっては検査時間いっぱい(40分)まで起きていた。寝不足状態の健康な成人でも同様の覚醒効果が確認できた。