2年に1度の「東京モーターショー」が24日に開幕したが、トヨタ自動車のブースに市販前提の車はない。代わりに、顧客が健康状態をチェックできるモバイルサービスが展示されていた。売り文句は「トヨタブースのスターは車ではない。人だ」トヨタが乗用車から軸足を移しているのには当然の理由がある。世界の自動車市場が縮小しているのだ。昨年は世界全体の販売台数が減少し、今年も減少が見込まれている。来年もまた減るとムーディーズ・インベスターズ・サービスは予想している。一部には、これは世界的な環境悪化による一時的な結果との見方もある。しかし、構造的な逆風の方がより重大かもしれない。貿易障壁の拡大や排ガス規制強化で自動車の製造コストが上昇している上、多くの国の市場は飽和し、相乗りのような代替サービスが登場している。米国の自動車販売は2016年にピークを迎えた。欧州連合(EU)のピークは2000年、日本は1990年だった。新興国市場が補うはずだったが、この市場にもやはり頭打ちの兆しがある。2018年半ばから1年間の販売台数は、中国で12%減、インドで14%減となった。世界に必要な台数に達した状態、いわゆる「ピークカー」が近づいているのかもしれない。