なぜ心躍るようなコンテンツが生まれないのか。

 その要因はいろいろあろうが、なかでも特筆すべきものが3つある。1つは自動車の作り手が、リアルワールドにおける移動の楽しみをスマホなどを通じて得られるバーチャル世界の楽しみの下に置いてしまっているという負け犬根性。次に、自分たちが取り組んでいる不可能を可能にする技術開発はエキサイティングそのものだから、他の人々にとってもそれは楽しいものに違いないという思い込み。最後は来場者を心の底から楽しませるためのアイデア、言い換えればショーマンシップの欠如だ。

子どもや家族連れが楽しめるコンテンツは増えている
子どもや家族連れが楽しめるコンテンツは増えているが… Photo by Koichiro Imoto

 モーターショーに関わる人たちの中には、それを何とかしたいという思いを抱いている人も少なからずいた。だからこそ、自動車産業にとどまらない「オールインダストリー(全産業)」というキーワードが出てきたのだろう。

 だが、コンテンツを見る限り、オールインダストリーといえるようなシナジー効果を感じさせる提案はなかった。電機、情報通信など他業界はおしなべて、お付き合いのために持っている技術を出品しただけで、それとクルマの融合で世の中がどう変わるかを示せるところまではとても行っていない。

 しかし、今回の東京モーターショーのような取り組みは、得られた反省材料の生かし方によっては未来につながる。なぜならば、来場者にエンターテインメントを提供できなければモーターショーはもはや開催意義を失うという意識を持ってコンテンツを作っているからだ。

 今までは本気を出していなかったからと自分自身に言い聞かせて逃げを打つことができたが、ある程度本気を出したのにうまく行かないということになると、反省が生まれるのが人間という生き物である。もちろん今回のショーでもメーカーによってやる気や創意工夫の度合いが異なる。が、本気のメーカーが今回のショーで足りなかったことは何かを反省し、今後に生かして良いモノを作り上げることができれば、やる気を失っているブランドもそれに引っ張られることも出てくるだろう。

デトロイトモーターショーが
どうなるかが興味深い

 ショーマンシップについては、来年6月に行われるデトロイトモーターショーがどうなるかが興味深い。北米家電ショー(CES)との競合を避けるため、1月から6月に開催時期をずらすことになったのだが、主催者は単なる開催時期変更ではなく、気候のよい季節であることを生かしてエンターテインメントショーにすると息巻いている。