現役世代人口の減少に伴う地方税収の減少と高齢化による社会保障費の増加で、地方でも大都市圏でも今後、自治体の財政が悪化するのは確実。特集「自治体危険度ランキング」(全5回)の#2では、人口予測に基づいて、30年後の税収や支出を試算し、財政が窮乏する自治体を予測した。(ダイヤモンド編集部編集委員 竹田孝洋)
高齢者人口が増加すれば、老人ホームなどの建設・維持費用が膨らむ
2045年に現役世代人口が現在の半分以下になると予測されている大阪府河内長野市。堺市に隣接し、大阪市や堺市の衛星都市として発展してきた。
バブル期以降の住宅建設が一段落した後、同市の人口はピークを迎え、減少に転じた。特に若年層を中心に転出が続いた。同市は、16年2月に「まち・ひと・しごと創生総合戦略」を策定し、雇用創出、婚活・子育て支援などの施策に注力しているが、人口減少に歯止めをかけられてはいない。
国立社会保障・人口問題研究所(以下、社人研)の予測では、15年に6万1616人だった同市の生産年齢人口(15~64歳)は、45年に58%減の2万6154人にまで縮小する。
人口減少による財政基盤の悪化は避けられない。また人口が減少しなくても、高齢者人口が増加すれば、老人ホームといった高齢者対応の施設を建設し維持する費用などが膨らむ。このように人口動態の変化は、財政に大きな影響を及ぼす。
そこで、社人研の市町村別の15年から45年までの人口予測を基に将来の市町村財政を試算し、人口規模別に将来窮乏度ランキングを作成した。
試算に当たって、まず歳入では現役世代に当たる生産年齢人口の増減に合わせて地方税を増減させた。歳出では、65歳以上の高齢者人口の増減に合わせて老人福祉費を増減させ、14歳以下の人口の増減に合わせて小学校や中学校などの費用を増減させた。