「もともと飲んでいたのだから、水道が駄目になったら、沢の水を飲めばいい」と、ある地方都市の市長は冗談めかして言った。
人口減少が進む自治体では、今後税収も減少していく。人口があまり減少しない自治体でも、高齢化の進展で社会保障関連の支出が急増する。
一方、住民が暮らしている限り、水道や道路のような生活インフラは提供し続けなければいけない。水道管網は1960年代から70年代の高度成長期に多くが建設され、老朽化が進んでいる。補修が必要だが、財政に余裕がなく、十分な補修ができなくなる自治体がこれから出てくる。
冒頭の市長の発言も財政の厳しさを自覚しているが故である。今回、全国の市町村を対象に足元の財政状況、将来の財政窮乏度、上水道、下水道のそれぞれの会計、インフラ補修の五つの観点から、財政の危険度を検証した。
本特集「自治体危険度ランキング」は10月28日(月)から11月1日(金)まで全5回の連載予定である。
#1 10月28日(月)配信
自治体「財政破綻度」ランキング・ワースト1578、夕張が断トツ1位
足元の財政状況がすでに悪化している市町村も少なくない。経常収支比率財政力指数、実質公債費比率、将来負担比率、の四つの財政指標からすでに首が回らなくなっている市町村をあぶり出す。
#2 10月29日(火)配信
自治体「将来窮乏度」ランキング・ワースト1578、1位は大阪・河内長野
現役世代人口の減少からくる税収減と高齢化による社会保障費の負担増で、地方でも大都市圏でも今後、市町村の財政が悪化する。人口動態に基づいて、30年後の税収や支出を試算し、将来の財政が窮乏する市町村を予測する。
#3 10月30日(水)配信
自治体「水道危険度」ランキング・ワースト1127、北海道に迫る限界
人口減少が進む地方では、水道料金収入は減る。一方、高度成長期に造られ、老朽化が進む水道管の補修は待ったなし。収入を増やそうにも料金の値上げにはおのずと限界がある。全国の市町村の水道事業の財政を分析した。
#4 10月31日(木)配信
自治体「下水道危険度」ランキング・ワースト1060、トップ10に北海道6町
地方では、下水道の普及率が低いか、敷設されていない市町村が少なくない。また大都市圏では、水道と同じく老朽化が進んでいる。人口減少による不採算に財政難も加わって、今後の下水道の普及率向上には限界が見えてきており、老朽化への対応も困難になることが予想される。
#5 11月1日(金)配信
自治体「インフラ危険度」ランキング・ワースト1578、北海道がトップ3独占
われわれの生活に不可欠な橋梁や道路。年々補修のための費用が増加している。一方で、多くの市町村の財政は窮乏していく。このままでは補修すら満足にできない日が遠からずやって来る。市町村ごとにその危険度を判定した。
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