企業のデジタルメディア活用において注目したいのが、ネット証券業界だ。老後資金問題をきっかけに資産形成への関心が高まる中で、各社がデジタルメディアを通じた「投資初心者」の取り込みに力を入れている。特集「ウェブサイト価値ランキング2019」(全5回)の#4では、そこにフォーカスしてお届けする。(トライベック・ブランド戦略研究所・後藤 洋、平井郷子/ライター・高橋 学/ダイヤモンド編集部・笠原里穂)
初心者を引き込む
ネット証券のウェブ戦略
昨今の年金問題をきっかけにNISA(少額投資非課税制度)やiDeCo(個人型確定拠出年金)など、将来の資産形成に向けた金融商品への消費者の関心度は高い。そこで注目が集まるのが証券会社だが、やはり口座開設のハードルの低さや手数料の安さから、ネット証券に人気が集まっているのもうなずける。
特にこれまで投資経験などがない初心者に向けた情報発信やコミュニケーションが重視されているためか、関連するコンテンツが充実していることが多い。
業界大手のSBI証券では、「かんたん積立アプリ」をリリースした。利用者の投資に対するリスク許容度などに合わせた投資スタイルを提案したり、実際に買い付けしたりすることができる初心者にも易しいアプリになっている。
さらに、ウェブサイト価値ランキングにおいて、昨年の総合50位から29位と大幅にランクアップした楽天証券では、「はじめての方へ」というカテゴリー内で、ガイドやセミナーの紹介、商品の分かりやすい説明など充実した内容で消費者の不安に応えようとしている姿勢がうかがえる。また口座開設など手続き関連の疑問解消のために「手続き関連 AIチャット」という機能を搭載し、簡単なやりとりをしながら目的の情報へ誘導してくれる点も消費者目線といえそうだ。