4Gの時代に最も普及したものはスマートフォンだ。では次世代通信規格、5Gの時代にスマホはどう変わるのか? その答えの鍵を握るのは中国のスマホメーカーだろう。ベゼルレスや光学ズームなどのトレンドをけん引してきたのは、米アップルや韓国サムスン電子よりも中国勢だったからだ。米中対立でファーウェイ(華為技術)の世界展開は停滞しているが、シャオミ(小米)が日本進出を発表したように、5G時代は先進国でも中国勢の存在感が高まることは間違いない。気鋭のジャーナリスト、高口康太氏による中国5G最前線レポートの最終回は、今最も注目すべき中国スマホメーカー、OPPO(オッポ)の経営幹部インタビューだ。(聞き手/ジャーナリスト 高口康太)
日本市場で販売絶好調
OPPOのコスパ怪物スマホ
まず少し丁寧に、OPPOについて説明しよう。日本ではまだ有名とは言い難いOPPOだが、実は世界5位のメーカーだ(グラフ参照)。2018年初頭に日本、同年夏に西ヨーロッパと先進国市場への進出も果たしており、世界での存在感を高めている。
特に日本で今年10月に発売した新機種「OPPO Reno A」(上写真)は、販売絶好調だ。BCNのスマートフォン週間売れ筋ランキング(SIMフリー)では発売初週に1位を獲得。価格ドットコムのスマートフォン人気・注目ランキングでも1位を快走している(11月7日時点)。初期生産品がほぼ完売し、今は追加生産を急いでいる。タレントの指原莉乃さんを起用したテレビCMなどPR面の効果もあるが、人気の原動力は圧倒的なコストパフォーマンスの良さだ。
半導体の性能面ではミドルクラスだが、画面内指紋認証や日本市場で特にニーズが高いフェリカ対応、防水といった機能が山盛り。にもかかわらず、3万5800円(税別)という手頃さ。メディア向け発表会では価格発表時に軽いどよめきが起きたぐらいだ。記者からは「なぜ、こんなに安いのか?」との質問が相次いだが、オッポジャパンの鄧宇辰(トウ・ウシン)代表取締役は「われわれは特別安いとは考えていない。これがOPPOのスタンダードだ」とひょうひょうと答えていた。
中国には「1億台クラブ」という言葉がある。スマホ出荷台数が年1億台に達した企業を指す言葉だ。韓国サムスン、米アップル、中国ファーウェイ、中国シャオミ(小米)、OPPO、中国Vivo(ビボ)の6社が該当する。彼らはスケールメリットを生かし、圧倒的な価格競争力を有しているのだ。
スケールメリットは研究開発費の多寡、すなわち技術力に直結する。18年11月にOPPOが開催したイベント「2018OPPOテクノロジーエグジビジョン」において、陳明永(トニー・チェン)CEO(最高経営責任者)は、「19年の研究開発投資に100億元(約1600億円)を投じる」と発表した。5GやAI(人工知能)、スマートデバイスという新ジャンルへの投資が中心だ。また米クアルコム、米グーグル、ソニーなどとの共同開発も積極的に展開している。
スマホ市場の「進撃の新巨人」OPPO。彼らが考える次世代のスマホ、そしてポストスマホの世界とはどのようなものか。深セン市のハイテクエリア南山区の一角にあるOPPO本社オフィスで、グローバルセールス担当幹部のアレン・ウー副総裁を直撃した。海外市場での躍進の立役者だ。