中国で5Gの未来を見てきた。#3
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次世代通信規格、5Gが普及する時代に中国では何が起こるのか? 前回は5Gの強みを生かしたさまざまなソリューションを伝えた。今回は、5G時代を支える要素技術の競争力が、これからどこまで向上するかを考えてみたい。チャイナイノベーション論の第一人者、高口康太氏が送る独占レポートの第3回だ。

岐路に立つ中国式イノベーション
競争のステージは要素技術に

「チャイナイノベーション」は実は今、岐路に立たされている。

 ここ数年、中国発のイノベーションが注目を集めてきた。モバイル決済を中心としたフィンテック、配車アプリやシェアサイクルなどのモビリティサービス、ライブコマースなどの新しいEC(電子商取引)、外売と呼ばれる出前代行サービス……。必ずしも全て中国が生み出したものではないが、超高速での社会実装とブラッシュアップによって、他国をリードするサービスが次々と開花した。

 ところが中国のハイテク産業では今、これまでの勝ちパターンはもはや打ち止めとの見方が広がっている。上述のチャイナイノベーションはモバイルインターネットを軸に、さまざまなビジネスアイデアを組み合わせることで生み出されたもの。この手法でつくれるビジネスはそろそろ限界との雰囲気が漂っているのだ。

 奇想天外なアイデアに潤沢な資金を提供してきたベンチャー投資マネーの財布のひもが固くなっていることも逆風だ。そのためチャイナイノベーションの次のステージでは、いかに要素技術を掌握するか、すなわちディープテックの勝負になると予測されている。

 競争のステージが別次元に移るだけに、中国企業がこれまでの勢いを持続できるかどうかは未知数だ。脱落する企業も出てくるだろう。それでも一部の企業は早くも、要素技術で成果を出しつつある。本稿では次世代通信規格である5G時代の競争力を決定づける要素技術のうち、特に半導体に注目する。5G時代はあらゆるものがコンピューターにつながり、AI(人工知能)機能を持つ「スマート化」の時代といってよい。コンピューターの頭脳=半導体こそがこの時代を左右するのだ。中国を代表するハイテク企業、アリババグループとファーウェイ(華為技術)の取り組みを中心に見ていきたい。