中国で5Gの未来を見てきた#2
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従来の4G通信よりも格段に性能が上がる次世代通信規格、5G。これを使っていったい何が可能になるのか? 中国ではすでに、政府と企業向けの5G導入事例が百花繚乱だ。ファーウェイ(華為技術)とアリババ・グループという中国を代表するハイテク2社が開発したものを中心に、日本に先駆けて進む5Gの事例を紹介しよう。気鋭のジャーナリスト、高口康太氏がダイヤモンド読者に送るレポートの第2回だ。

これ以上の高速化は必要?
疑念吹き飛ばす事例の数々

 中国で10月末にスタートした次世代通信規格、5G。「通信速度は4Gの10倍以上で、2時間の映画を3秒でダウンロードできる」と言われても、現状でも十分快適に動画を視聴できているので、これ以上の速度が必要なのかと思い、ぴんとこない。そういう人は多いだろう。

 実は4Gの普及前にも似たような話はあった。当時の新聞記事を見ると、「DVDに収められた2時間の映画が30秒でダウンロードできるという」(読売新聞東京朝刊、2014年1月24日)とある。これに対して「30秒でダウンロードしなくてもいいじゃないか。4Gは本当に必要か」という声があった。

 結果はご承知の通り。高速回線による常時接続によってスマートフォンを入り口とした数々の新ビジネスが生活を変えた。5Gでも同様に、破壊的なイノベーションが起きるはずだ。ただし、その震源地はスマホではないようだ。

「消費者は5Gと4Gに実質的な違いを感じることはないだろう」。これは18年4月に開催された「ファーウェイ・アナリスト・サミット(HAS)2018」での、徐直軍(エリック・シュー)輪番会長の発言だ。5Gが起こす激震はスマホなどの消費者向けではなく、別のところで起きると示唆した。

 本当にそうなるのか、さっとは腹落ちできないでいた筆者に衝撃を与えたのが、今年9月の二つのイベントだ。「ファーウェイコネクト2019」(開催地:上海)と、アリババ・グループの「APSARAカンファレンス」(同杭州)。どちらも中国を代表するハイテク企業のイベントで、企業・政府向けの活用事例が多数展示されていた。その多くが5Gを基盤とする、あるいは5Gで性能が大きく向上するもの。想像以上のスピードで中国社会の隅々に5Gソリューションが浸透していくであろうことを予感させられた。本稿では両社のイベントで紹介された事例を主にレポートする。