もともとサンズは「大阪に世界最大級のカジノを」と表明していたのだ。

 国際戦略担当のジョージ・タナシェビッチ氏は、この約2ヵ月前の6月18日の産経新聞のインタビューでも、「サンズは大阪に注力する。横浜は方針が不透明。東京は五輪で手いっぱい。大阪は姿勢が明確だ」と語っていた。

 今になれば、林市長や後ろにいる陰の実力者への「催促」だったと思われる。「いつまで待てばいいのだ。ぐずぐずしていると大阪と組むぞ」と揺さぶりを掛けたのだろう。

 横浜では、カジノ問題を仕切っているのは神奈川2区を地盤とする菅義偉官房長官と見られている。カジノ政策の基本は内閣官房に置かれたIR区域整備推進本部が所管しており、官房長官は事実上の司令塔だ。

大阪と首都圏が有力
開業は2024年ごろに

 カジノ資本は、これまでロビー活動に多額の資金を投じてきた。IR実施法の立法までこぎ着けたが、営業開始はいつになるか不透明だ。このことが、最大のリスクになっている。

 一方でマカオの営業権が2022年に満期を迎える。ちょうど日本で、「全国3ヵ所」とされるIR整備地域が固まり、カジノ業者の選定が行われる時期とほぼ重なる。

 米中貿易戦争で双方がどういった形で妥協するのか、いまだ見えず、また貿易戦争は妥協したところで、米中の対立の構図が続く。米国カジノ資本の日本上陸への動きはさらに加速するだろう。

 施設の建設が始まり開業は早くても2024年ごろとみられ、サンズが撤退を表明した大阪は、オリックスと組んだMGMリゾーツ・インターナショナルの進出が有力視されている。

 一方で首都圏では、トランプ大統領が再選されれば、アデルソンのサンズで決まり、という観測がもっぱらだ。

 菅氏の地元・横浜になるかは、市民や港湾業者が反対していることもあって、不透明だ。

 時間がかかりそうなら「東京に乗り換え」も選択肢だろう。小池百合子知事は、かつての林横浜市長と同じ「検討中・白紙」という姿勢だ。

 石原慎太郎・元都知事が「お台場カジノ構想」を打ち上げたのは1999年。それから20年かけて、上陸をめざす国際カジノ資本の姿がはっきり見えてきた。“収穫”は目前のアデルソン氏はどう動くのだろうか。

(デモクラシータイムス同人・元朝日新聞編集委員 山田厚史)