野田政権への
海外評価の高まり
6月後半のロンドンのエコノミスト誌に、「The unlikely Mr.Noda」(注1)として野田首相のリーダーシップを高く評価する記事があった 。
6月18~19日に開催されたメキシコ・ロスカボスでのG20に、野田首相は政局の関係上、最初の1日しか出席できなかったが、IMF資金基盤強化への600億ドルの融資枠の貢献を打ち出すことで、会議の流れを形づくった。すなわち、具体的貢献額を示していなかった国々の対応に大きな影響を与えるなど、意外な存在感を示したとの評価もされている。
これまで、日本の政治の特徴は長らく「決められない政治」とされてきたが、そのなかでの海外からのサプライズであったと考えられる。
「国債救助隊」野田政権の
評価が国債の信認に
下記の図表1は、日米独のCDS市場の推移であるが、6月に一時的ではあれ、国債の信用度の目安であるCDSプレミアムが日独で逆転し(日本のほうが信用度が高いと評価され)、世界中で米国に次ぐ水準になったことが注目された。
野田政権は、日本の国債の信認を救った「国債救助隊」の役目を果したことになる。その背景に、日本が消費増税で財政規律への姿勢を示したことがある。
一方、ドイツは欧州諸国への追加負担への不安が存在したことが原因と考えられる。また、ムーディーズなどの格付け会社も日本の消費増税への対応にはポジティブなスタンスを示していた(注2)。さらに、同政権が原発の再稼動に向けた動きを示したことへの経済面からの評価も存在する。
国内ではここ数ヵ月、「政局一色」で、国内政治の混乱に対して世論はまさに、うんざりといった感じだが、海外では意外にも現政権への評価があり、内外の意識ギャップは予想以上に大きい。
(注1) The Economist (注2) Moody's