(3)話すのが上手、書くのは下手

 話すと魅力的だ。話も面白い。しかし、書かせたら支離滅裂という人たちもたくさんいる。

 講演録を作っていたときにも、書き起こしたら全く講演録にならないような代物になってしまい、「このまま印刷に回して世に出せば、『有識者』なり『教養人』なりで通っている○○さんの評判を落としかねない…」とひやひやしたことがある。先方のアシスタント的な人にどうすればいいかと尋ねると、「適当に補って文章をつないでください」と言われたので、もうほとんどこちらで創作して、なんとか文章の形にまとめた。そして、先方にチェックを求めると一発OKである。

 先方も、その時々の雰囲気に合わせて思いついたことを話しているので、自分が何を話していたかあまり覚えていないとのこと。その後も、同様のケースに何度も出くわしたが、たいていこちらで差し障りのない程度に加筆修正して、抗議されたことは一度もない。私の補足説明と潤色の技術がよほど高いか、その人自身が書かれた文章によほど興味がないのか…もちろん後者なのだ。

 近頃は、「パワポマジック」というものもある。パワーポイントの“紙芝居”で見ると、グラフが直感的によくできていたり、話者のプレゼンテーション技術が高かったり、場の雰囲気も加勢したりして、あたかもそこにもっともらしい因果関係があり、論理性もばっちりであるかのように錯覚するのだが、文章でつなげてみると、実は全くつながらないというのはよくあることだ。

 聞いていると面白い話が、講演録にするとすかすかになってしまうのは、このパワポマジックに似ている。

(4)話すのも書くのも下手

 これはビジネスパーソンとして未熟ということだろう。話す、書く、いずれの方面についても、しっかり技術をマスターする必要がある。