また、就業率についても前回よりも改善する前提となっていますが、高齢者が働きやすい環境が整っているかといえば、これまた不十分だと思われます。最近は65歳を定年とする企業は全企業の15.2%と増えていますが、66歳以上を定年としている企業は1.0%、そもそも定年制を廃止している企業も2.3%しかありません。働きたい人が老後も働ける環境はまだまだ道半ばです。

 ここまでの話をまとめると、今回の財政検証の結果は、前回よりも若干改善しているものの、その主要因は出生率と就業率の改善で、その前提についての私の見解は楽観的過ぎるのではないか、ということになります。したがって、出生率が低いケースや労働参加が進まないケースが実現することも起こりうる未来として考えておいたほうがよいでしょう。仮に出生率が低くなったら「経済成長と労働参加が進むケース」であっても、所得代替率は49.2%まで下がります。また出生率が想定通りになったとしても、「経済成長と労働参加が一定程度進むケース」になれば、やはり所得代替率は44.5~46.5%まで下がります。個人的には、このように所得代替率が50%を若干下回るくらいで考えておくのが妥当だと考えます。次回は、将来の年金額がどうなるのかを世代ごとに見ていきたいと思います。

今回の川柳
漫然と 見てはいけない 財政検証

(アライアンス・バーンスタイン株式会社 AB未来総研 所長 後藤順一郎)

※本記事中の発言は筆者の個人的な見解であり、筆者が所属するアライアンス・バーンスタイン株式会社の見解ではありません。

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