定年を迎えた父が、40代ワーキングマザーの妻が…。前回お伝えした通り、誰しも陥る可能性のある「アルコール依存症」だが今、特に発症のリスクを抱えているのは高齢者とアラフォー女性という。背景にあるのは、日本社会に潜む“マッチョな価値観”だ――。(フリーライター さとうあつこ)
定年がアルコール依存症の
入り口になることも…
最近、LINEを覚えた母親からの愚痴メッセージがとまりません。定年を迎えてからというもの、父親が朝から飲んだくれているというのです。酔うと暴言を吐いたり、くどくど説教をしたりするのでたまらないと…。現役時代は真面目でよく働き、お酒に溺れたことなどなかったのですが。
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近頃、ビールジョッキ片手に昼間から盛り上がる高齢者の姿が目立つようになった。24時間営業の居酒屋、昼スナックなどが並ぶ最近の繁華街は、定年を迎えたシニアにとってまさに天国だ。
だが長年仕事漬けで、特に趣味も生きがいもない人の場合、定年こそあらゆる依存症の入り口。アルコール依存症になる人も少なくない。平成29年国民健康・栄養調査(厚生労働省)によれば、「生活習慣病のリスクを高める量を飲酒している者の割合」は60代男性で17.4%。ほぼ5人に1人に上る※。
※平成29年国民健康・栄養調査結果