企業が社員を解雇することが難しいとされる日本。しかし、企業があの手この手を使って「実質的な指名解雇」といえる方法を繰り出してくることもある。特集「人事大激変!あなたの評価・給料が危ない」(全12回)の第5回では、あらゆる業界の人事部にとって参考になるが、ターゲットにされた社員にとってはたまらないという武田薬品工業の巧妙過ぎるリストラ手法を取り上げる。
武田薬品のエクセレントな椅子取りゲーム
社外に非公表&実質的な指名解雇――。リストラの頻度が高い製薬業界にあって経営側からすればお見事な方法を、国内最大手の武田薬品工業が2017年までに実行した。舞台は神奈川・旧湘南研究所(現湘南ヘルスイノベーションパーク)。やられた社員はたまったものではないが、あらゆる業界の人事部にとって参考になる方法だった。
「何がオペレーショナルエクセレンスだ。ただのリストラを人事幹部は体裁よく言いやがって」。リストラされた元組合員の毒づきに、経営側と労働者側の絶望的な意識の差が表れている。
ダイヤモンド編集部の取材によると、リストラは13~14年と16~17年の2回。特徴は公平性を担保しつつ、会社にとって都合の良い人材を残し、悪い人材をはじき出した点にある。管理職はおろか、組合員も問答無用で切られた。