武田薬品が「売上高1兆円の新薬候補」の大風呂敷に一抹の寂しさクリストフ・ウェバー社長兼CEO Photo by Masataka Tsuchimoto

アイルランドのバイオ医薬大手シャイアーの巨額買収で今年遂にメガファーマ(巨大製薬会社)入りした武田薬品工業。メガファーマとして初のR&Dデーで「100億ドルを超えるポテンシャル」と強調した開発中の12製品のほぼすべては他社由来だった。良くも悪くも“新生タケダ”の船出を象徴していた。(ダイヤモンド編集部 土本匡孝)

「タケダの未来の基礎になる」と
感謝祭を前に収穫を喜ぶ外国人経営陣

「とてもエキサイティングに感じている」「我々は自信を持っている」「戦略が功を奏している」――。

 国内製薬トップの武田薬品工業が11月21日に東京で開いた「R&D(研究開発)デー」。米国のサンクスギビングデー(感謝祭)を翌週に控え、外国人首脳らからまさに“収穫”に感謝する発言が続いた。もちろん農作物に対してではない。武田薬品が近年実施してきた数々の企業買収、パートナリングでもたらされた有望な新薬候補に対してだ。

 武田薬品はこの日、2020~24年度を承認目標とする有望な新薬候補12製品14効能を「ウェーブ1」と名付けて発表した。各品目ピーク売上予想の合計は「保守的に見積もって、100億ドル(約1兆1000億円)を超える」(R&DプレジデントのアンドリューS・プランプ取締役)。適応症のほとんどが対象患者数の少ない希少疾患であるにもかかわらず、だ。