人材ビジネス業界は過去最高益を更新する企業が続出するなど活況を呈している。だが、旧来のビジネスモデルを破壊する可能性を秘めるテック企業が急成長するなど、大手も安穏としてはいられない状況だ。特集「人事大激変!あなたの評価・給料が危ない」(全12回)の第7回では、競争が激化する人材ビジネス業界の最前線を追った。
王者リクルートに挑む
新星ビズリーチの勝算
「年収1000万円の転職・求人情報」「選ばれた人だけのハイクラス転職サイト」――。こういった広告を見たことがある読者も多いのではないだろうか。
これらの広告主が、「人材ビジネス業界のIT企業」と呼ばれるビズリーチだ。いわゆる「高度人材」に特化して、人材ビジネス業界で急成長を遂げた。
同社がテック企業として見られるゆえんは、リクルートグループといった競合と異なり、自社で顧客企業と求職者を仲介する転職エージェントなどを持たないからだ。
ビズリーチの競争力の源泉は、審査を通過した求職者だけが登録できる高度人材のデータベース(DB)にある。
リクルートなど人材ビジネス大手も高度人材のDB構築を急ぐが、自前のDBとビズリーチのDBを併用せざるを得ないほど、ビズリーチのDBの“品質”が評価されている。ビズリーチの多田洋祐取締役は「即戦力となる求職者が多数登録しているのが先駆者のメリット。大手人材会社のほとんどがビズリーチのデータベースを利用している」と話す。
同社は当初、DBの閲覧を提携する外部のヘッドハンターらに限定していた。だが、そういった仲介者を使わずに企業が直接、求職者をスカウトする「ダイレクトリクルーティング」を推進するため、一般の顧客企業にもDBを公開することにした。
このビジネスモデルを図解すると、次の図のようになる。