壮大なビジョンやジョブズのようなプレゼンはいらない

 ただ、この際に大事なのは、「壮大なビジョンを語ること」ではないし、あるいは、アップルのスティーブ・ジョブズのように、事業の話を誰もが魅了されるようなストーリーに乗せて伝えることでもありません。
 実際に、私自身が数多くのトップランナーや経営者と対談してきたからこそ感じることですが、明確に「従業員を大切にするために、経営者をやっている」と語る経営者もいれば、反対に「口では壮大なビジョンを語っていても、実態が追いついていないケース」も存在しています。当然だが、口先だけでは何も判断できないのです。

 以前、エンジニア出身の技術畑の経営者と話した際、それを実感することがありました。会って最初の30分は、無愛想で口が悪い印象でした。私は最初、「この人の下に本当に人がついてくるのだろうか?」と疑っていました。
 しかし、粘り強く彼の話を深掘りし、聞いていくと、彼の目指しているビジョンや世界観は、自身の原体験に基づいていることがわかったのです。そして、心の底からそのビジョンを信じ、突き進んでいることが伝わってきました。そして彼のまわりにいる人たちも、その世界を深く信じていたのです。
重要なのは、(当たり前だが)「なぜ経営者をやっているのか」を、行動で体現している
ことなのです。さらに詳しくは、一切の出し惜しみせず書いた『OPENNESS  職場の「空気」が結果を決める』をご覧いただければ幸いですが、最後に聞きます。

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