世界をありのままに理解する力
僕はネルーやH・G・ウェルズに触発され、『全世界史 上・下』(新潮文庫、2018年刊)、『人類5000年史 Ⅰ・Ⅱ』(ちくま新書、2017年、2018年刊)を書きました。現在、『人類5000年史 Ⅲ』を校正中です。
本来は、ホモ・サピエンス20万年史を書くべきなのですが、言語が発明された以降は、飛躍的に情報量が増えますから、シュメールで楔形(くさびがた)文字が生まれた5500年ぐらい前から今までの地球の歴史をトータルですべて書いてみました。
でも、ネーション・ステートに分かれ、それぞれの国家ごとに教育がなされることにより、
世界をトータルに
ありのままに理解する力が
すごく弱まっている
と思います。
そういう意味で、今回の「ビッグヒストリー」というのは、生命の歴史、宇宙の成り立ちから始めて、我々の周囲にある世界をまるごとありのままイデオロギーや思い込みをこえて理解する試みでなくてはいけない。そのように考えています。
ですから、クリスチャン先生の本に比べれば、ごく短い、わずか3000年の『哲学と宗教全史』ですが、今回、桜美林大学でこのようなすばらしいシンポジウムをやっていただいたので、この本を桜美林大学に贈呈させていただきたいと思います。
(拍手)
過去の僕の『哲学と宗教全史』全連載は「連載バックナンバー」にありますので、ぜひご覧いただき、楽しんでいただけたらと思います。