親の在宅介護に限界を感じ始めた、あるいは周りに頼れる人がおらず将来に不安を感じ始めた。こうしたとき、有料老人ホームへの入居を考える人は多いだろう。だが、各ホームの質や特色は千差万別。中には従業員不足や経営の問題によって、入居者が暮らしづらい「悪質」ホームも存在するのが実態だ。

 そこで「週刊ダイヤモンド」では、介護が必要になった家族のために、あるいは自分のために有料老人ホームを探す際、役に立つランキングを作成した。数多くあるホームから候補を絞り込むときの目安として参考にしてほしい。

 ランキングの対象となるのは、施設が介護サービスを提供する介護付き有料老人ホーム(特定施設入居者生活介護)であり、入居定員20人以上、開設後2年以上を経過しているホームである。

 対象エリアは介護付きホームが200以上ある都道府県(北海道、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、愛知県、大阪府、兵庫県、福岡県)に絞った。各自治体とも、主に要介護状態の人が入る「介護型」と、ある程度身の回りのことが自分でできる人が入る「自立混合型」に分けて、ランキングを作成している。さらに、東京都と神奈川県は、介護型を「5年総費用」の額が2000万円以上と同未満に分類した。

 今回は、その中から福岡県における介護型のランキング上位ホームを紹介しよう。

福岡県・介護型1~10位

福岡県有料老人ホームランキング

 福岡県・介護型3位のフェリオ天神は、ホテルやゴルフ事業を手掛けるリゾートトラストグループの傘下にあるシニアライフカンパニーが運営する、ハイブランドの有料老人ホームだ。もともとシニアライフカンパニーは、住宅設備大手のLIXILの傘下で2006年から老人ホームを運営してきており、現在は「フェリオ」シリーズなど計5ホームを東京都と福岡県に展開するなど、安心の実績と経験を持つ。フェリオ天神は、2016年の老人ホームランキングでも福岡県・介護型の2位にランクインしており、ランキング上位の常連ホームだ。

 介護体制を見てみると、介護・看護職員の配置比率が職員1人に対し入居者が1.5人と手厚く、24時間・365日介護・看護スタッフが常駐している。また、医療機関やホームの嘱託医との密な連携に加え、専門的なスキルを持つスタッフや多職種のチームが協力することで、最期の瞬間まで本人らしい暮らしを大切にする看取り介護にも力を入れている。

 居室は全室個室の上、標準の広さが24平方m(約13畳)とゆとりのある空間。また、少人数の生活単位(ユニット)できめ細かな個別ケアを行う「ユニットケア」を採用しているため、自宅で暮らすのと変わらないような感覚で、普段の生活を楽しむことができる。

 フェリオ天神では、科学的介護の実践によって生活の質の向上を目指しているという。例えば、水分摂取の状況を客観的なデータとして把握するなど、スタッフが身体の仕組みを理解し、理論に基づいた支援をするといったことだ。

 注力している認知症ケアについても同様だ。認知症ケア専門士の資格取得スタッフによるプログラムを導入するほか、学習塾などを運営するくもんの認知症向けの学習療法システムを取り入れている。簡単な読み書きや計算などに取り組むことで、認知症の症状悪化を防ぎ改善を図ることができるという。