「次の指名は…A子!君だ」

 A子はしきりに首を振った。

「私は音痴なので、カラオケはいいです…」

 だが、B課長はしつこかった。

「何を言っているんだ。早く来い。これは業務命令だ!」

 A子は仕方なく応じた。B課長はA子の横に自分の息がかかるほどピッタリと寄り添いながら上機嫌で歌っていたが、A子はあまりの苦痛で全身にじんましんが出る始末。それ以来すっかりB課長のことが苦手になった。

「もうあんな目には会いたくない。B課長にからまれるのは嫌だ」

 忘年会の件ですっかり気がめいったA子は、帰宅途中の電車の中で友人のC子にLINEを送った。

「12月24日に会社の忘年会があるんだって。クリスマスパーティーどうしよう?」

 C子からすぐに返事が来た。

「えーっ!ウソでしょ?この日を逃したらあの有名シェフの料理はもう食べられないかもよ。それに久々でみんながそろうのに、1人だけ来ないなんてつまんなくない?」
「私も皆に会いたいけど、課長が業務命令だってうるさいんだ」
「忘年会って、仕事関係ないんでしょ?」
「うん。仕事が終わってから、お店でただワイワイやってるだけ」
「じゃあ、忘年会はパスで決まりだね!」
「でも…」
「それともA子は忘年会行きたいの?」
「行きたいわけないじゃん。課長とデュエットしたくない!」
「じゃあ、課長に『業務命令だ!』と言われたら、『だったら残業代払え!』って大声で叫んでやったらどう?アハハハ…」

 強気なC子の言葉にA子の心は決まった。