衣料品メーカーのショールームからライブ中継するワン・シーツーさん(29) Photo:Raffaele Huang/The Wall Street Journal

【杭州(中国)】21世紀の新たなインフォマーシャル(商品の詳細な情報を盛り込んだ通販広告)が、時にリスクの高い方法ではあるが、中国の広大な市場でモノを売る最新手法として注目されている。

 上海在住のツー・ディさん(25)は、Viyaさんがオンラインのライブショーで1台持つべきだと伝えるまで、164ドル(約1万7800円)の豆乳マシンを買おうと考えたことはなかった。Viyaさんは健康な暮らしを提唱することで知られるインターネット上の有名人だ。ツーさんはすぐ代金を払い込んだ。2週間前には、同じくViyaさんが勧めていたコーヒーマシンを購入したばかりだった。

 「朝一番にコーヒーを飲みたくなる時がある。だが豆乳がいいと思う日だってある。その方が健康にもよい」とツーさんは話す。

 中国ではViyaさんのような「インフルエンサー」が、従来型広告への挑戦を始めた。同様の状況が起きている米国では、インフルエンサーの戦術や効果にさまざまな疑問が生じている。

 電子商取引業界では、ライブ映像で商品情報を広める母親や農民(犬が活躍する例も)を「キー・オピニオン・リーダー(KOL)」と呼ぶ。中国最大のインフルエンサー紹介会社、如涵控股(ルーハン・ホールディングス)によると、中国で2018年にこうした人々が販売した商品は40億ドル以上に達した。

 2019年に中国で見込まれる電子商取引の売上高2兆ドルのごく一部ではあるが、インフォマーシャルという分野に、広告主は高い関心を寄せている。調査会社アドマスターおよびトップマーケティングの調査によると、今年、中国で優先的に使った広告媒体はネット上の有名人やインフルエンサーだと回答した広告主が67%に上った。それを裏付けるように、関連するプロデューサーやタレント紹介の業界規模はここ2年で倍増した。

 市場調査会社WARCによると、中国のインフルエンサーは昨年時点で推定2100万人。アリババグループの通販サイト「淘宝網(タオバオ)」や中国版TikTok「抖音(ドウイン)」などのプラットフォームを活用し、ライブストリーミング配信を行う。一方、米国ではアマゾン・ドット・コムがライブストリーミングやインフルエンサーを通じた販促手法を試しているとはいえ、まだ緒に就いたばかりだ。ソーシャルメディア(SNS)上のインフルエンサーは主にインスタグラムやユーチューブへの投稿や短編動画に頼っている。

11月27日に配信したライブ中継の中で、ワン・シーチーさんはアシスタントの助けを借り、説明を続けながらジャケットを着用した Photo:Raffaele Huang/The Wall Street Journal