安易に「マルチプレイヤー」を目指した僕の末路

 一方で、分散させたことでの失敗談もあります。プロゲーマーになってから数年、僕はマルチプレイヤーとして活動をしていました。eスポーツにおける格闘ゲームのメインタイトルのひとつは、「ストリートファイターシリーズ」の最新作なのですが、その他にも色々なタイトルが存在します。僕はストリートファイターを中心にやりつつも、それらのタイトルにも参加をしていました。ストリートファイターの選手全体のレベルが高く、大量のリソースを投じてわずかに実力を上げたところで、それに見合ったリターンが返って来るとは思えなかったからです。

 労多くして功少なし。浅薄にそのように割り切って、その他のタイトルに手をつけていきました。一応、プロとしての立ち位置も考えていました。ストリートファイターでの立ち位置を維持しつつ、その他のタイトルでベスト8常連くらいの実力があれば、マルチプレイヤーとしての存在感が示せるのではと思っていました。

 しばらくはそれでうまくいっていましたし、それなりにマルチ戦略を評価もされていたのですが、気がつくとメインのストリートファイターで勝てなくなっていたのです。