ですから僕なら狙いはひとつに絞ります。

 もし複数の大学を受験するとしても、ほとんどの場合は第1志望は東大、第2志望は○○大と優劣がつくはずです。そして優劣があるのなら、行きたい方にリソースをつぎ込んだ方が、圧倒的に効率は上がります。どちらかに決めてしまえばピークも1回でいいので、本番における精神的な負担もまるで違います。

 ちなみに受験は一発勝負ですから、当日に力を出し切れるように仕上げることは、実力と同じくらい大切です。この回数を増やすのは、ボクサーが短い期間にタイトルマッチを何度もやるのと同じ。調整が難しいのはいうまでもありません。

 併願してリスクを分散するやり方は、たとえるなら大人数のパーティによる大掛かりな登山のイメージです。潤沢な資金と時間をかけて入念に計画し、拠点を何カ所も用意して、エース級の人材を何人も揃え頂上を狙う。二の矢三の矢を繰り出すだけの準備ができている。時間と根気がある人向けです。僕はゲームをしたいこともあり、あまり時間をかける余裕もなかったので、軽装かつ単独行、スピード登山といった感じでした。ルートも自分が最も登りやすい最短距離です。なぜなら東大の合格だけが目的だからです。登頂さえすればかまわないので、記録を作ったり難関ルートを攻略する理由がありません。