まずは、その前に銀行業界で今年広がったカジュアル化の流れを確認しておこう。

 最もインパクトが大きかったのは、6月下旬にテレビ局や全国紙が大きく取り上げた三井住友銀行の施策だ。7月から夏季限定で、本店の営業部門以外の行員(約3500人)を対象に、スーツ着用を原則とする服装規定をなくす試みを始めたのだ。

 継続を求める行員が多く、同行は9月から通年で自由な服装での勤務を容認した(対象も約7000人に拡大)。

 このほか、三菱UFJフィナンシャル・グループは、5月から通年でノーネクタイを認める「ビジネスカジュアル」を導入。みずほフィナンシャルグループも、11月中旬からドレスコードの緩和に踏み切っている。

7月の落ち込みは10%超!
紳士服4社の既存店売上高

 青山商事の既存店売上高の4~9月の推移を見ると、7月が12.5%減と最もマイナスが大きくなっている。銀行のカジュアル化の影響に加え、今年7月は例年に比べ気温が低く、着用時に涼しく感じる商品の売れ行きが鈍った。大手4社とも10%を超すマイナスに落ち込んでいる。

 7月以外では、4月も減少幅が大きく目立つ。ただ、これは「4月1日が日曜日であったかどうかの影響が大きい」(AOKIHDのIR担当者)。

 紳士服業界にとって、新入社員向けにスーツが大量に売れる2~3月は書き入れ時だ。昨年は4月1日が日曜日だったため、この需要が4月までずれ込んだ。一方、今年は4月1日が月曜日だったため、この効果が消えてしまった。

 4月の既存店売上高は、青山商事が12.0%減、AOKIHDは11.8%減となっている。このうち4月1日に日曜日がずれ込んだ影響は青山で5.4%、AOKIで約8%あったという。

 つまり、これを除いて考えれば、やはり7月の落ち込みが突出している。銀行のカジュアル化効果の大きさがうかがえる結果になっているというわけだ。

 一方、8~9月は全社で既存店売上高がプラスとなっている。これは10月1日の消費税増税前の駆け込み需要によるものだ。

 本来、今年はこの追い風があるわけだから、4~9月期の既存店売上高は、何としてもプラスを確保しておきたかった。

 だが、4社の4~9月期の実績はいずれも1.5~6.8%のマイナス。10月は消費税の増税に加え、台風の影響もあり大幅に落ち込んだ(17.2~27.9%減)。10月以降、厳しくなるのは目に見えていたのだ。

 2019年3月期の通期決算で各社が苦戦するのは不可避の情勢である(なお、コナカだけ通期決算が9月期)。

 なお、ダイヤモンド・オンラインでさらに詳細な分析を加えた完全版記事も同時公開している。

(ダイヤモンド編集部 清水理裕)

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