映画「ボヘミアン・ラプソディ」が公開されて1年、世界で興行収入1000億円を超える空前の大ヒット作となり、アカデミー賞と英国アカデミー賞で主演男優賞などを受賞している。そして2020年1月にはクイーン+アダム・ランバートの来日公演が行なわれる。もちろんフレディ・マーキュリーはいないが、2019年10月にはフレディのソロ録音を集大成した「ネヴァー・ボーリング-フレディ・マーキュリー・コレクション」と題したボックスセットが発売されている。このフレディ全集を聴くと、彼が晩年に残した作品の多くはクラシックへ傾斜していたことがわかる。(ダイヤモンド社論説委員 坪井賢一)
フレディ・マーキュリーの
豪華ボックスセットが発売に
ボックスセット「ネヴァー・ボーリング-フレディ・マーキュリー・コレクション」(ユニバーサル)に収められているのはCD3枚、DVDとBlu-ray各1枚、そして重厚な写真集とライナーノートとポスターである。これで1万6000円+税。私はすぐに買っちゃった。フレディのソロ作品はこの30年間で何回か発売されているものの、おそらくこれが決定版だろう。物理メディアとしては最後かもしれない。
CD1は、主にソロシングルの録音12曲を集めたもの。当時というか最近まで、ポップスはアルバムヴァージョンとシングルヴァージョンでオーケストレーション(アレンジ)を変えていた。そのシングルヴァージョン集である。
CD2は、ソロアルバム「Mr. Bad Guy」(1985年)を2019年にリマスタリング(再処理)したもので全11曲。
CD3は、モンセラート・カバリエ(ソプラノ)とのデュエットアルバム「バルセロナ」(1988年)を2012年に伴奏を録音し直したもの。全9曲。88年盤の伴奏はシンセサイザー中心だが、2012年盤は3管編成80人の大オーケストラである。
DVD/Blu-rayは同じ内容で、フレディが残した14曲のPVが収録されている。
CD3の「バルセロナ」がフレディ最後のソロ(デュエット)アルバムだ。共演しているモンセラート・カバリエはスペインを代表するオペラ歌手(ソプラノ)である。
どうしてオペラ歌手との共演に至ったのであろう。