本田美奈子さんが2002年11月に編集して日本コロムビアの岡野博行さんに渡した研究用MD9枚102曲を連載第22回で紹介した。解説の残り1曲はMD⑤-6.サラ・ブライトマンの「Who Wants To Live Forever」である。この曲は英国のロックバンド、クイーンのカバーだ。サラ・ブライトマンはこの曲をシングル盤として1997年に発売し、同年中にアルバム「Time To Say Goodbye」に収録している。
クイーン、サラ・ブライトマン、本田美奈子
クイーンは1973年にEMIからレコード・デビューした。2013年で40周年である。70年代から80年代を通して文字通り世界中でもっともレコード(CD)が売れ、ライブも東西欧州、南北アメリカ、そして日本で膨大な聴衆を集めたバンドである。ハードロック、ヘビーメタルからバラード、ラテン、クラシックのオペラや混声合唱曲風の楽曲まで、実に多様な作品を世に送り出している。年月を経て変遷したのではなく、同時に作っていた。
クイーンの音楽的な特徴や来歴については、ダイヤモンド・オンラインの連載「今週の音盤 心のビタミン」第51回で小栗勘太郎さんが書いておられるので、ぜひお読みいただきたい。
この世界的なロックバンドのメンバーはブライアン・メイ(ギター、1947-)、ジョン・ディーコン(ベース、1951-)、ロジャー・テイラー(ドラムス、1947-)、フレディ・マーキュリー(ピアノ、リード・ヴォーカル1946-91)の4人で、ともに作詞作曲家であり、4人全員が英国のシングル盤ヒットチャートで1位を獲得している。中でもフレディ・マーキュリーとブライアン・メイの作品が多い。
フレディ・マーキュリーが91年11月に亡くなってからは当然のことながらオリジナルメンバーの活動はない。ジョン・ディーコンはすでに音楽界から引退している。しかし、ブライアン・メイとロジャー・テイラーの2人は「クイーン」のまま現在も活動を続けている。
サラ・ブライトマンが97年にカバーした「Who Wants To Live Forever」(「永遠に生きることを誰が望むのか」)はブライアン・メイの作品で、1986年に発表されている。原曲はホ短調(Em)、ゆったりしたバラードでシンフォニックに仕上がっている。リード・ヴォーカルはフレディ・マーキュリー。
クイーンはこの曲で初めて本物のオーケストラを入れたそうだ。CDを聴くとオケの音色は電気的に変えているが、弦の厚みはわかる。アルバムには器楽のみの演奏も収録されている。ピアノと管弦楽のクラシック風なアレンジだ。
サラ・ブライトマンは「Who Wants To Live Forever」をイ短調(Am)に変えて最高二点ト(hi G)を美しく伸ばす。サラ盤はロンドン交響楽団の伴奏でゴージャスだ。