FacebookやTwitterアカウントを活用して、友人にプレゼントを贈るソーシャルギフトサービスが人気だ。一杯のコーヒーから花束、体験ギフト、あるいは、友人と共同購入できるサービスなど、その種類はさまざま。
だが実際に利用してみると「購入したい商品がない」「あまり豪華なものを贈るのもちょっと……」と、躊躇してしまうこともないだろうか。
そんなときに役に立ちそうなサービスが「Kampa!」だ。プレゼントの共同購入や、「ワリカン」での備品購入などを手助けしてくれるこのサービス、もともとは、大阪のコワーキングスペース「オオサカンスペース」のメンバーが、コーヒーメーカーをカンパし合って購入しようと思い立ったことがきっかけだという。
「カンパ用の募金を個人が手元で管理するのは面倒が多いものです。また、銀行振込での送金は手数料がかかるので割高になりがちです。そこで、コワーキングに集う優秀なアプリ開発者の力を活かして、この不便を解決するソリューションをつくろうと開発をスタートさせました」(デザインエッグ株式会社 佐田幸宏CEO)
一見するとKampa!は、冒頭に挙げたソーシャルギフトサービスに見える。たしかにその側面も持ち併せているが、Kampa!の最大の特長は「手数料無料」「個人情報不要」の“送金サービス”である点だ。
Kampa!での取引のミソは、Amazonギフト券を活用しているところにある。Amazonギフト券であれば、15円から50万円の範囲で任意の金額を贈ることが可能だ。また、Amazonギフト券の利用の際には相手のメールアドレスが必要となるが、Kampa!では、送金の際に専用の受取用メールアドレスを発行する仕組みとなっている。カンパをする側も受ける側もこの専用メールアドレスを介してのやり取りとなるので、口座番号等の個人情報の受け渡しをする必要がない。
「Kampa!を利用することで、プレゼントや備品の共同購入、集金の際の現金管理・事務作業の負担を無くすことができます。また、楽しいパフォーマンスを提供してくれる人、役に立つWEBサービスをつくってくれた人たちに“いいね!”の気持ちとともに、15円から1円単位での投げ銭もできます。Kampa!はインターネット上で、銀行に代わるサービスとなる可能性があると考えています」(同氏)
加えて興味深い点は「大阪だからこそできたサービス」であると強調しているところだ。いまや全国に広まりつつあるコワーキングスペースだが、やはりお国柄(県民性)は出るということだろう。「オオサカンスペース」では、飛び込み営業マンのセールストークをむしろ有料で聞く「営会話」というサービスを立ち上げてしまうなど、大阪ならではのユニークな発想やイベントが日常的に飛び交っているという。
「大阪は、自分が自分らしく仕事ができる場所です。サービスを面白くするためにアイデアをどんどん出して応援してくれる仲間がいて、彼らと刺激し合う。それなしにはKampa!は生まれませんでした。優秀な人と仲間が集うオオサカンスペースを拠点にできることは、ある意味、首都圏よりも面白いサービスを生み出すという点で優位かもしれません。今後も大阪でしっかりと力を付けて、世界展開を目指します」(同氏)
浪花のあきんど精神から生まれたKampa!。実績はこれからだが、ネットでの“お金の使い方”に一石を投じるサービスといえるだろう。
(中島 駆/5時から作家塾(R))