東日本大震災発生から1年が過ぎた。阪神大震災の時の1995年がボランティア元年と言われるようになったのと同様、2011年は寄付元年と呼ばれるようになるだろうと、折りに触れて語ってきたが実態はどうだったのか? 日本ファンドレイジング協会編集『寄付白書2011』(日本経団連出版刊)がその実態を明らかにした。

 同白書によれば、今回の震災により寄付した人は8457万人。15歳以上人口の実に約76.4%にのぼる。寄付金額は約3899億円である(いずれも2011年8月19日現在)。ちなみに、2010年の寄付総額は4874億円なので、日本の年間寄付総額にほぼ匹敵する金額の寄付が、たった半年で集まった計算になる。寄付者数で見れば、2010年は3733万人(15歳以上人口の約33.7%)なので、今回は去年の倍以上の人たちが震災被災者のために寄付を行なったことになる。

 また、今回の震災により27.6%の人が「義援金と支援金の違いを知った」と回答している。つまり、寄付した人が大幅に増加したしただけでなく、寄付というものに対する理解が大いに深まったのである。

 寄付文化を育てるためには、寄付に対する理解が必要だ。寄付者の数や寄付の金額も重要だが、その数字を伸ばすためには寄付に対する理解が欠かせない。それが、今回の震災を機に高まった。筆者が「2011年は寄付元年」と言う最大の理由である。「寄付とは何か?」「寄付するためには何をどう理解して行なうべきか?」「そして、自分自身の中で寄付する理由とは何か?」、そのようなことを考え、理解する人が大幅に増えた。つまり、寄付市場がようやく成長軌道に乗ったのである。

 寄付市場をさらに成長させ、寄付文化を豊かなものにするためにはインフラも拡大させる必要がある。ソーシャルメディアの時代にふさわしい寄付サービスの充実も必要だろう。そこで今回は、注目の新しい寄付サービスをご紹介する。

プロジェクトに寄付する仕組み
「成功率の高さ」の秘訣は?

「READYFOR?」は、昨年4月に開設された新しい寄付サイトだ。正確に言えばクラウド・ファンディング・サービスのサイトである。クラウド・ファンディングとは、ネット上で多くの人から資金を集める行為のことで、ネット寄付はクラウド・ファンディングのひとつである。他に、寄付付き商品の販売(コーズマーケティング)や、投資(寄付と違い、プロジェクトが成功すれば出資者にリターンがある)とうスタイルがある。アメリカにはすでに200以上のクラウド・ファンディング・サービスがあり、その数は急速に増加しているという。