家計の見直し老後資金が足りないと悩んだら、まずは家計の見直しが重要です Photo:PIXTA

老後資金が足りないと自覚すると、投資によって増やそうとする人が多い。しかし、本当に老後資金が足りないなら、投資の前に生活を見直すことが重要である。年始の今こそ、無駄遣いをしていないか、改めて確認してみたい。(久留米大学商学部教授 塚崎公義)

運用で増やすにはリスクが伴う

「老後資金が足りないから、投資で増やそう」と欲張るのは、非常に危険な考え方である。投資で増やそうとすれば、当然ながら運用に失敗して老後資金が減ってしまうリスクもあるからだ。

 ただでさえ足りない老後資金がさらに減ってしまったら、悲惨な老後が待っている。これは最も避けるべき事態だ。

 そんなリスクを冒すよりも前に、やるべきことがある。1つは健康な間は少しでも長く働くこと、もう1つは生活を見直すことである。長く働くべきだという話は以前の拙稿「老後資金は投資で増やすより働いて増やすべきシンプルな理由」で論じたので、本稿では生活の見直しについて考えたい。

倹約する前に「夫婦一緒に」家計を見直そう

「生活を見直す」というと、ビールを飲まずに発泡酒で我慢する、といった倹約を思い浮かべる読者が多いかもしれないが、それより優先すべきことがある。主な支出項目について、本当に必要か否かを自問自答してみるのだ。

 家計簿をつけるのが面倒であれば、銀行の預金通帳とクレジットカードの利用明細を眺めるだけでもいいだろう。先入観を排除してゼロベースで、一つずつ、本当に必要な支出か否かを自問自答していこう。

 その際、可能であれば夫婦そろっての検討が望ましい。もっとも、それでけんかになっては元も子もないので、お互いを非難するのではなく、くれぐれも建設的な話し合いを心がけたい。

 特に、妻が「夫が私の家計管理にケチをつけている」と感じてしまい、協力姿勢が一転して防御姿勢になってしまわないように、夫は十分に気をつけよう。例えば、自分の職場で上司がケチをつけてきたら、自分も防御姿勢に入るだろう。それと同じである。