アマゾンのジェフ・ベゾス氏のやり方を見れば、その効用が理解できます。それまでなかったインターネット通販を根付かせるためには、各国の硬直した制度を変えていかなければ立ち行きません。そのため莫大な投資を行い、雇用を発生させると同時に、世論をアマゾン支持に向かわせたのです。

 そのプラス効果を武器に使うことで、いくら既存の小売業界の抵抗勢力がアマゾンエフェクトの脅威を叫んでも、社会はむしろアマゾンを受け入れる方向にその制度を変えていかざるを得ないのです。

15億円保釈金の「計算式」も
一般人とはちょっと違う

 さて、日本人の感覚としては、今回の脱出劇で15億円もの保釈金が没収されたことを「もったいない」と考えた人も多いと思います。「15億円よりも自由が大切だったのか」という問いも投げかけられましたが、おそらくグローバル経営者の頭の中の計算式はちょっと違います。

 これだけ派手な脱出劇を敢行したことで、「捨てた15億円を上回る収入を手にすることができるはず」と考えるのが、グローバル経営者です。実際、脱出直後にアメリカのメディア大手がこの脱出劇をドラマ化する契約を結んだという噂が流れました。この噂はデマだったようですが、ネットフリックス、アマゾン プライム・ビデオといった動画配信系の新興メディアにとっては、ゴーン氏に支払う十数億円の契約金など、加入者の増加効果ですぐに元がとれるレベルでしょう。

 実際に、ハリウッドでの映画化企画が進められるという話も聞かれます。書籍化、メディア化だけで15億円の保釈金(今となっては、これは逃亡計画に必要な初期費用です)に加えて、プライベートジェット機のレンタル費用、協力してくれた特殊部隊チームへの報酬などは、十分に賄えるのではないでしょうか。