「売上金はその都度銀行に預けるよう言っていただろ!」

 社長が怒鳴りつけると、店長はビクッとして「すみません…」と小さな声で答えるのだった。

 普段から、毎日の売上金はその都度入金するように言われていたのに、セール中の忙しさにかまけて、数日分の売上金を現金で持っていたのだ。

「細川、お前もお前だ!店長がだらしないからお前も金の管理に気を付けてくれって言ったよな?」

 社長の怒りの矛先が店長から自分に向けられた細川は、「すみません…」と社長に頭を下げた。そして、社長の怒りが収まらない様子に責任を感じたのか、細川は「自分と店長で弁償する」と言い出した。

「自分にも半分責任があるので2人で弁償します。いいですよね?店長」

 細川の言葉に店長は内心(えぇ!それは無いだろ…)と思いつつも、激怒した社長の様子を見て、「あぁ…」と同意するしかなかった。

 社長は、「細川のほうが店長よりもよっぽど責任感がある!」と少し機嫌を直したようだった。

 その後、警察に届けたが売上金は戻らず、結局180万円を会社と店長と細川の3者で負担することとなった。

細川のリュックから
こぼれ落ちた驚きの中身

 それから10日ほどたったある日のこと。アルバイトの海野が「店長、ちょっといいですか?」と話しかけてきた。

「この間、細川さんが私にプレゼントだと言って、バッグをくれたんですよ」
「そうなの?誕生日とか?」
「違いますよ。ブランド品で多分10万円くらいはするものですよ」
「なんでそんな高いものをくれたの?」
「前からしつこく飲みに誘ってきていたし、おそらく私の気を引くためだと思います」
「えー?そうなの?ももかのこと、狙っていたのか」

 海野は、迷惑そうな顔で「こっちはその気が無いから断っているのに…。店長、何とかしてくださいよ!」と言ってきた。

「そんなこと言っても、俺が出る幕じゃないだろ」

 店長はそう言いつつも、「売上金の弁償をしたばかりなのに、どこにそんな金があるんだ?」と不思議に思った。