テレビの売上割合は徐々に低下

 電通は、2018年にインターネット広告代理店のセプテーニ・ホールディングスと資本提携するだけでなく、サイバー・コミュニケーションズやVOYAGEGROUPなどを次々に傘下に収め、広告媒体のラインナップを増やしています。

 博報堂DYホールディングスも負けてはいません。2018年にインターネット広告代理店であるD・A・コンソーシアムホールディングスを完全子会社にしました。

 下記のグラフを見てください。

広告代理店は儲からない? 電通と博報堂の粗利益率からわかること

 媒体別の売上高の内訳を見てみると、電通、博報堂DYホールディングスともに、テレビがいまだにトップです。しかし、毎年徐々にテレビの売上割合が低下しています。それを補うようにインターネット広告の売上を積み上げています。

 インターネット広告売上の割合は、博報堂DYホールディングスが16%と、電通の10%を上回っています。金額ベースで見ても、博報堂DYホールディングスが2335億円に対して、電通は1918億円です。

広告代理店はこれからどうなる?

 電通は、海外を含めた媒体別売上割合を開示していないため、国内売上のみを対象とした大まかな比較でしかありません。しかし、少なくとも国内におけるインターネット広告では、博報堂DYホールディングスのほうがシェアを握っているように見えます。これからの動向に注目です。

 広告代理店がM&Aでさかんに会社の規模を大きくするのは、ある意味必然といえるでしょう。

 それは単にシェア拡大による利益向上だけでなく、市場のシェアを上げることによって、自社の存在感を高め、メディア会社・広告主双方からの信頼を高めることにもつながるからです。今後も広告代理店業界は、M&Aによって大手に集約されていくことが予想されます。

(本原稿は『経営や会計のことはよくわかりませんが、儲かっている会社を教えてください!』第2章からの抜粋です)

参考記事『「ヤマトより佐川のほうが儲かっている」宅配戦争に学ぶ経営の基本』