自分たちが置かれた競争環境を客観視することができるか

小林:それぞれのサービス提供者は普段の営みと頭を切り替え、7S(セブンエス)的な話や、潜在競合とはなんなのかといった話などを改めてきちんと振り返らないと、どんどん自分たちのタコ壺に引きこもってしまいがちになりますね。

朝倉:同時に、競争環境を自分たちに都合良く解釈してしまうということもあります。マーケットの切り方もそうですし、完全に競合しているような企業であったとしても、「あの会社は共に市場を開拓していくパートナーであって、実は競合していないんです」と言ったりするケースです。本当はそんなこともないのだけど、自分たちが見たい市場環境の一側面だけを切り取って見てしまう。

村上:逆に、他社を意識しすぎるというケースもあるでしょう。DeNAとGREEが経験されたように、競合同士での競争に専念していると、どんどん相手側を意識してしまい、それ以外の潜在競合への目がいかずにオペレーションの面で引っ張られてしまうといった状況ですね。

小林:大いにあります。激しい競争がある領域においては特に、直接的競合にどんどん目がいってしまうので。

朝倉:阪神と巨人みたいなもんでしょうか。社内マネジメント上も、仮想敵を設定すると目標設定などが楽になりますしね。

小林:DeNAとGREEのケースで考えてみると、蓋を開けてみたら実際の競合は別のところから来たわけで、大外から来る潜在競合にどう対応するかを常に忘れないでいるということが大切なんだと思います。

*本記事はVoicyの放送を加筆修正し(ライター:代麻理子 編集:正田彩佳)、signifiant style 2019/8/14に掲載した内容です。