ドアは総ガラス張り。運転席にハンドルはついておらず、クルマがドライバーの脈拍を察知して「起動」する。床部分はインドネシアに生えている植物の根でできている。電気自動車であるAVTRのバッテリーは、レアメタルなどを使わないリサイクル可能な技術でつくられている。

 現時点ではあくまでもコンセプトカーで、商業化される可能性は少ないが、地球環境と生き物の共存を謳うSFファンタジーの理想を表現することで、メルセデスのラグジュアリー路線に新たな方向性をつけ加えたともいえる。

AVTR車内
ハンドルはついていない

子どもの車内置き去りを
センサーで守るクルマ

 人体の脈拍を感じてクルマが起動するのはSF的な世界だが、人体の呼吸のリズムの動きをクルマが感知し、その技術が人命を救うことにつながるのが、VOXXオートモーティブの「ソロ」というシステムだ。

 同社が開発したレイダー装置をクルマの内部天井部分に装着すると、後部座席にいる赤ちゃんや子どもの呼吸を感知することができ、緊急アラートを車外に送ることができる。米国では真夏に車内に置き去りにされた子どもが死亡する事件が多発しており、毎年約37人の子どもの命が犠牲になっている。

「後部座席の赤ちゃんが、たとえば毛布などにくるまれていて外から全く見えない状態でも、うちが開発したセンサーは人体の呼吸の小さなリズムの動きを見逃さないから、人命救助に役立つんだ」と語るのは、VOXXのプロジェクト・エンジニアリング・マネージャーのダグ・クライン氏だ。

 試しに後部座席に人に座ってもらい、同社のセンサーを起動させると、わずか2秒ほどでアラートが鳴った。開発されたばかりのこの技術、将来は車外にいる親のスマホのアプリに自動的に緊急アラートを送ることなども可能になりそうだ。

VOXXのセンサー機能
VOXXのセンサー機能が後部座席の人の呼吸に反応した様子