今年は暖冬といわれているが、今後まとまった降雪がないとは限らない。そこで考えておきたいのが、雪に弱い首都圏の鉄道事情。過密ダイヤで運行されているため、雪国の鉄道のような除雪もあまり意味がなく、降雪時には、間引き運転が行われて駅は大混乱となる。台風時と同様に、休業や始業時間の繰り下げなどが柔軟に行われるようになってもいいのではないだろうか。(鉄道ジャーナリスト 枝久保達也)
5センチの積雪で
首都圏の鉄道ダイヤは乱れる
1月18日、東京は今年2度目の雪を観測した。前回の降雪は1月4日深夜に観測されたみぞれで、これが東京の今年の初雪だったが、実質的に18日の降雪が今年の「初雪」となった印象だ。都心では積雪は記録されず、交通に影響は出なかったものの、大学入試センター試験の初日だったということで、気をもんだ受験生も多かったことだろう。
今年の冬は、全国的に平年よりも気温の高い日が多い「暖冬」だ。冬型の気圧配置が続かず、日本海側では記録的に雪が少ない状況で、営業を開始できないスキー場も多いという。ただ南岸低気圧に左右される関東地方の降雪は気まぐれなので、今後、まとまった降雪がある可能性は否定できない。
関東甲信地方では2018年、1月22日から23日未明にかけて大雪があり、東京でも23センチの積雪を記録した。この影響で鉄道各線は、23日の午後から通常より運転本数を減らして運行したため、帰宅時間は激しい混雑とダイヤの乱れが発生したことは記憶に新しい。東京ではおおむね5センチ以上の積雪があると鉄道が乱れ始め、10センチ以上で一部の路線はマヒ状態となる。
ちなみに平成以降の記録を振り返ると、1989年から2019年まで31年間のうち、東京で雪が降らなかった年はないが、積雪を記録した年は19年で、5センチ以上の積雪は10年、10センチ以上は6年だ。つまり、3年のうち2年は雪が積もり、そのうち1年は鉄道の運行に影響を及ぼす5センチ以上の積雪になる計算だが、実際にはそこまで均等に降るわけではなく、2006年の冬から2011年の冬まで6年間、5センチ以上の積雪がなかった空白期間もある。
2012年以降は、7年のうち5年で5センチ以上の積雪を記録しており、そのうち2014年と2018年は20センチ以上の記録的な大雪となった。結局、降ってみなければ分からないのが東京の雪なのだ。