昨年末に事業規模で26兆円にも上る経済対策をまとめた安倍政権。特集「財政膨張」(全5回)の第2章では、取りまとめ役となった西村康稔経済財政相にその狙いなどについて聞いた。(ダイヤモンド編集部 中村正毅)
金融政策は時間稼ぎでしかない
財政出動で未来への投資が不可欠
――なぜ今大型の経済対策が必要だったのか。またデジタル分野への投資では中長期的な視点での予算配分になっているが、どういう問題意識が背景にあるのか。
第一に、東日本を中心に台風15号、19号によって大きな被害が出た。河川が140カ所にもわたって氾濫する中で、防災・減災、国土強靱化というのが一つの柱としてある。
それに加えて、今は外需が非常に弱い状態だ。世界経済の成長率見通しについて、IMF(国際通貨基金)やOECD(経済協力開発機構)が下方修正しているように、輸出が落ちているし、製造業の生産も弱含んでいる。そうしたリスクへの備えということで予算を組んでいる。