景気拡大局面と言いながら、大型経済対策が打ち出され、歳出規模が100兆円を超える来年度予算が編成された。アベノミクスの陰りと「ポスト安倍」をにらんだ政治の思惑が“財政膨張”を加速する。特集「財政膨張」(全5回)の第1章では、「ポスト安倍」を巡る政治的思惑と財政膨張の知られざるメカニズムを描く。(ダイヤモンド編集部特任編集委員 西井泰之)
財政膨張の知られざるメカニズム
「ポスト安倍」の政治的思惑
「10兆円を下らない程度のものが必要だ」。経済対策作りの号砲となった昨年11月19日の二階俊博・自民党幹事長の「10兆円」発言。その約3週間前、すでに自民党内で“財政膨張”の動きが始まっていた。
自民党政務調査会の事務総長として岸田文雄政調会長を支える木原誠二議員は「台風被害がひどかったから確実に補正(予算編成)があると、いろんなことがやれるチャンスだと考えた。(岸田)会長も存在感を示す好機と、当然考えていたと思う」と明かす。