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前回の2014年の発表より2ヵ月余り遅い8月末に、ようやく公的年金の財政検証が発表された。今回示された六つのケースのうち、現実的といえるのは経済前提の水準で見て下から二つ目まで。そこで明らかになったのは、現実的な経済前提では、「今後100年間にわたって所得代替率50%」という政府の掲げる目標を維持できないということだ。(ダイヤモンド編集部編集委員 竹田孝洋)

 実現する可能性の低い「楽観ケース」以外では、“100年安心”は保証されない。これが今回の年金財政検証の結果だ。

 裏を返せば、現実的な経済前提では、政府が目標とする夫婦2人のモデル世帯での所得代替率(65歳時点で受け取り始める年金額の、現役世代の平均手取り収入額に対する比率)50%を100年先までは維持できないということだ。

 14年の財政検証では、八つの経済前提に基づくケースが示されたが、今回は六つのケースが示された。経済前提が楽観的な三つのケース(I~III)は、内閣府が半年ごとに公表している「中長期の経済財政に関する試算」にある「成長実現ケース」が目先の28年度までの前提となっている。

 しかし、これまでの実績を見る限り、実質経済成長率(21~28年度の平均)1.8%、消費者物価上昇率(同)1.7%や名目賃金上昇率(同)2.8%という成長実現ケースの水準が実現する可能性は低い。

 18年度までの過去6年間の平均実質経済成長率は1.2%、同消費者物価上昇率は0.9%、同名目賃金上昇率は0.4%だ。成長実現ケースを大きく下回る。

 現実的といえるのは、ケースIV~VIが前提としている「ベースラインケース」(21~28年度の平均実質経済成長率1.1%、同消費者物価上昇率0.8%、同名目賃金上昇率1.3%)だろう。