政府は、昨年12月にまとめた大型経済対策に続いて、2020年度予算案を閣議決定した。一般会計の総額は2年連続で100兆円の大台を突破。財政の膨張に歯止めが掛からない。そこで本特集「財政膨張」では、2月10日(月)~14日(金)の全5回にわたって、この財政膨張のメカニズムを解剖していく。経済対策や「100兆円予算」編成をめぐる政治的思惑や1990年代から続くマクロ政策失敗の歴史、気鋭の経済・財政学者の論考などを網羅した。
第1章 2月10日(月)配信
「100兆円予算」決定の裏でうごめいた、ポスト安倍を巡る政治的思惑
景気拡大局面と言いながら、大型経済対策が打ち出され、歳出規模が100兆円を超える来年度予算が編成された。アベノミクスの陰りと「ポスト安倍」をにらんだ政治の思惑が“財政膨張”を加速する。「ポスト安倍」を巡る政治的思惑と財政膨張の知られざるメカニズムを描く。
第2章 2月11日(火)配信
西村康稔経済財政相に聞く「なぜ今、大型経済対策が必要なのか」
19年末に事業規模で26兆円にも上る経済対策をまとめた安倍政権。取りまとめ役になった西村康稔経済財政相は「財政出動で未来への投資が不可欠」「成長と分配の好循環をつくっていく」と語る。だが、経済対策にその効果はあるのだろうか。なぜ今、大型の経済対策が必要だったのか、西村氏に疑問をぶつけた。
第3章 2月12日(水)配信
マクロ政策「失敗の40年」、政府・財務省・日銀は今こそ歴史に学べ
景気安定を図るはずのマクロ政策だが、政権の思惑や財務省・日本銀行の利害が錯綜する中でバブルや金融危機を生み、デフレ脱却にもてこずってきた。大型経済対策や「100兆円予算」は「失敗の歴史」を繰り返すことにならないか。
第4章 2月13日(木)配信
MMT名付け親の経済学者が断言「財政政策中心の新時代が幕開けた」
「反緊縮財政」の理論的支柱になっている「MMT(現代貨幣理論)」が脚光を浴びる理由の一つに、主流派のマクロ経済政策が機能していないことへの不信がある。格差拡大など市場の失敗が看過できない状況で財政の役割が増している。
第5章 2月14日(金)配信
財政再建をしないで済ませる「理由探し」はやめよ、財政学者の提言
財政健全化目標の先送りが続く中で、「財政出動」は成長につながるのか。「反MMT」の立場で、財政健全化を重視する佐藤主光・一橋大学教授は、「堅実な財政再建の道筋を示さない状況での財政出動はむしろ国民の不安を強める」と話し、歳出改革がインセンティブになる消費増税の工程表づくりを提言する。
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