日本の企業統治改革、TOB増加で株主の存在感増すPhoto:Reuters

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 日本のコーポレートガバナンス(企業統治)改革は機会を拡大している。その最新の例となるのが、日本企業を巡る株式公開買い付け(TOB)の増加だ。

 ゴールドマン・サックスによると、日本では昨年、TOBが43%増の2兆1000億円に達し、2007年以来の高水準となった。07年にはシティグループによる日興コーディアルグループ買収でTOB実績が押し上げられた。

 昨年の増加の大部分は、上場子会社に対するTOBだ。例えば三菱ケミカルホールディングスは11月、56%を出資する田辺三菱製薬に対し、4900億円のTOBを実施した。こうした流れは今年も続いている。日立は先週、完全子会社化を目指して産業機器部門の日立ハイテクノロジーズへのTOBを実施するため、5311億円を投じると述べた。

 企業が動いた背景には、規制強化によって上場子会社の少数株主が一段と保護されるようになるとの観測があるかもしれない。日本の上場子会社はしばしば、現金報酬があったとしてもなお、少数株主の権利を守る上で独立性が不十分とみなされている。つい先月には、東芝による子会社の半導体製造装置メーカー、ニューフレアテクノロジーのTOBが成立した。HOYAは東芝を上回る条件を提示していたにもかかわらずだ。

 さらに心強いことに、敵対的買収提案も増えている。日本では買収防衛策が広く導入されていたが、そうした対策をやめる企業が増え、敵対的買収は以前より容易になった。ゴールドマンによると、昨年は2005年以来で初めて、実質的な「ポイズンピル(毒薬条項)」であるこうした防衛策を撤回する企業の数が、導入する企業の数を上回った。

 米ブラックストーン・グループやローン・スターなど一部の資産運用大手は7月、ホテル運営会社ユニゾを巡り、日本では珍しい買収合戦に参加。ユニゾの株価はその間、3倍近くに跳ね上がった。17年に東芝グループから分離・独立した東芝機械は先月、旧村上ファンド系投資会社による敵対的TOBに直面した。

 長らく耐え忍んできた日本の株主が報われるこうした流れは、今後も続く可能性が高い。

(The Wall Street Journal/Jacky Wong)