体罰でしつけられると攻撃的な子になる

 テュレーン大学公衆衛生学部の研究者キャサリン・テイラーが実施した2010年春の研究でも、その結果が裏付けられた。

 1ヵ月間に2回以上、お尻を叩かれた3歳児は―子どもによる攻撃性の違い、母親のうつ病、アルコールや薬物の使用、配偶者からの虐待といった要因を考慮に入れたあとでさえ―5歳になったときに攻撃的になる確率が50%以上高かったのである。

 尻叩きは暴力をともなうため、尻を叩かれて育った子どもは道徳心を育むのではなく、のちにその暴力を真似る可能性が高くなるのだ。

 なぜ尻叩きに関しては、賛否両論があるのだろう?

 そもそも、尻叩きを認めるべきではないのに?

 もっともな疑問だ。誘導的しつけには、大変な努力が必要となる。いっぽう、子どもを叩く行為には、なんの努力も必要ない。

 私の意見では、体罰は子育ての怠慢にほかならない。

(本原稿は『100万人が信頼した脳科学者の絶対に賢い子になる子育てバイブル』ジョン・メディナ著、栗木さつき訳の抜粋です。「誘導的しつけ」に関する記事はこちら