もっとも、将来を明るく考える材料も複数挙げることができる。まず、治療法が確立される可能性である。世界中の研究者が必死に治療法を考えているのだから、治療法が見つかれば、一気に多くの人が救われるはずだ。

 そして、もし新型肺炎が「発病直後に死亡することはあっても、翌日以降に死亡するのはまれである(完治までには長い治療期間を要するが)」といったものであるならば、2%という計算は正しいことになるだろう。筆者としては、そうあることを強く願っている。

 筆者がもう1つ希望を持っている材料としては、湖北省以外のデータを見ると、それほど悲惨な状況ではないことである。湖北省は医療が崩壊しているために被害が拡大したが、医療が崩壊していない場所では死者数が限定的で、治癒数は順調に増えている。この傾向が続くことを強く願うものである。

 したがって筆者は、現在の患者の多くが死亡するなどと言っているわけでは決してない。あくまでも、統計を扱う際にはさまざまな事情を考慮すべきと言いたいのだ。

 新型肺炎関連の最後となってしまったが、亡くなった方のご冥福をお祈りするとともに、罹患された方々の回復をお祈りし、医療関係者などの尽力に感謝したい。

「賃金が上がっていない」のは統計のマジックかも

 新型肺炎の話とは全く関係ないが、統計は慎重に行うべきとの教訓として本稿で取り上げたいのが、賃金の統計である。少子高齢化とアベノミクスにより労働力不足が深刻化しているが、その割に統計を見ても賃金は上がっていない。本当に賃金が上がっていないという面も当然あろうが、統計のマジックで上がっていないように見えているだけ、という可能性もある。

 ここでは、後者の可能性について考えてみたい。「下がっていないのに下がっているように見えるマジック」が働くため、実際には上がっているのに気づかない、という可能性である。