エンゲージメントが高いユーザーを増やしていくために

朝倉:プロダクト・マーケット・フィットが確立していないのに、マーケティングで勝負をかけると、ユーザー数は増えたとしても、本来自分達が対象としないユーザーまで増えてしまい、本当に狙っていたユーザーに刺さるプロダクトが何なのかを見失ってしまうという問題もありますよね。

小林:コンシューマープロダクトの場合、はじめに、そのプロダクト固有のアクションとなるコア・アクションの仮説をつくり、そのコア・アクションがリテンションとある程度の相関性があることを検証します。次の手順として、コア・アクション後、翌日や翌々日(プロダクトの利用頻度により異なる)にそのプロダクトを再度利用してくれるユーザーの共通要素を見つけて、マジックナンバーというプロダクトの継続利用を促すトリガーとなる条件の仮説を作ります。その後は、翌週や翌々週など、同様にマジックナンバーの仮説検証を繰り返します。マジックナンバーの具体例としては、Twitterのフォロワー数や、Facebookの友人は何人かのような数値条件が挙げられます。

マジックナンバーを別の言葉で言い換えると、「ユーザーにプロダクトの価値を理解してもらい、プロダクトを好きになってもらうための条件」です。この条件を満たして、継続的に利用してくれている、エンゲージメントが高いユーザーが、さらに別のエンゲージメントが高いユーザーを連れてくるよう、バイラルの設計をします。それが成功すると、1人ユーザーが増えると、同時に3、4人増えてくるといったような状況が生まれます。その段階で、マーケティングに予算を投下すると、ユーザー数がJカーブで伸びていきます。こうしたプロセスをひとつひとつ進めていくことが、コンシューマープロダクトを育てる上でひとつの正しいやり方だと思うのですが、そこを省いてしまうケースも多いですよね。