DeNAはこれからどうなる?中長期的に見る

 不安定なゲーム事業に代わる収益の柱を育てようと、DeNAはM&Aを駆使して事業の多角化を模索してきました。しかし、キュレーションサイトは前述の通り閉鎖に追い込まれ、旅行事業の「DeNAトラベル」もエボラブルアジアへ譲渡してしまいました。

 配車アプリ「MOV」も、ジャパンタクシーとの経営統合することになり、オートモーティブ事業からは片足抜けた格好です。現在はヘルスケア事業などを育成中ですが、いまだ赤字が続いており、収益の柱になるにはまだまだ時間がかかりそうです。

 そんな中、唯一、好調を維持しているのはスポーツ事業です。すなわち横浜DeNAベイスターズだけが孤軍奮闘しています。他の事業が苦戦する中、スポーツ事業は前年同期比で増収増益を達成しました。

 現在、DeNAの貸借対照表に残っている「のれん」は、ベイスターズ買収時に発生した58億円のみなので、今後の減損リスクは極めて限定的でしょう。また、DeNAはキャッシュを800億円以上も抱えるキャッシュリッチ企業で、自己資本比率も70%を超えています。

 かつての栄光時代の蓄えによって財務基盤はまだまだ盤石で、かつ、今回の減損損失で溜った膿は吐き出されました。

 決して焦る必要はなく、中長期的な視点でじっくり事業の立て直しに注力していってもらいたいものです。