開幕を控えた明治安田生命J1リーグに臨む18クラブの監督、そして選手一人が一堂に会する華やかな舞台へ。この日がオフだったヴィッセルからはFCバルセロナ及びスペイン代表で一時代を築き、今シーズンもキャプテンを拝命するチーム最年長の35歳、イニエスタが参加していた。

「早くリーグ戦が始まってほしい、というワクワク感がある。このリーグ戦でチームとして去年よりもいい実績を残したいし、何よりも開幕戦をホームで、ファンと一緒に戦えることを喜んでいる」

 昇格組の横浜FCをホームへ迎える23日の開幕戦へ。すでに極限まで高まっているモチベーションを物語るかのように、イニエスタの心技体は早くも完璧なハーモニーを奏でている。

 前年のJ1王者と天皇杯覇者が激突する開幕前の風物詩、8日のFUJI XEROX SUPER CUPではインサイドハーフとして先発フル出場。対峙した横浜F・マリノスの選手を含めた9人が立て続けに失敗する、前代未聞の展開となったPK戦では1番手として成功させ、天皇杯に続くタイトルをヴィッセルにもたらす口火を切った。

 そして、中3日で迎えた前出のジョホール戦ではトップ下として先発。神業パスを連発してFW小川慶治朗が達成したハットトリックをお膳立てするなど、5-1の快勝に貢献したイニエスタはお役御免でベンチへ下がる後半43分まで、ヴィッセルの中心で代役の利かない存在感を放った。

 世界最高峰の舞台であるヨーロッパチャンピオンズリーグと、関心が低いがゆえにどのJクラブも集客で苦戦しているACL。2つを同等に位置づけ、ヴィッセルのアジア制覇へファンやサポーターの後押しが欲しいと望んでいたからこそ、イニエスタは「なぜなのか――」とカズに思いの丈を訴えたのだろう。もっとも、気を取り直した今ではこんな言葉とともに闘志を燃やしている。

「ファンやサポーターがもっと、もっと応援に来てくれるようなサッカーをしないといけない」

 それでも、ヴィッセルのオーナー、楽天株式会社の三木谷浩史代表取締役会長兼社長は、クラブおよびイニエスタのド派手なACLデビューにすこぶる上機嫌だった。観戦後に珍しくメディアの取材に応じ、イニエスタへ最大級の賛辞を贈っている。

「まあ、彼は魔術師なので」