せっかく会議で長い時間かけて議論をしたのに、決定したはずの施策が一向に進んでいない。弊社が行った「会議の不満アンケート」でもかなり多かったのが、このケースである。これでは、議論した時間がまったくもってムダだったといわれても仕方がないだろう。
そこで今回は、なぜ「決まったことが後で実行されない」意味のない会議が行われてしまうのか、その原因と防止策を考えてみよう。
「こんな会議はダメ」とわかっていても
なぜか実行できない会社が多い
まず、詳細を見ていく前に下記の簡単な問いに答えてほしい。
A社とB社で、新しいコンセプトの家を造るための会議が行われた。どちらの会議が好ましいものだろうか?
A社では、参加者全員が自分事として、どんなコンセプトの家を、どんなデザインで、どのくらいの予算や工期で、どの施工業者に依頼して建設するかの議論を真剣に行った。そして、会議の終了後は、決定したプランを全員の案として、実現に向け一丸となって実行に移った。デザインコンセプトや設計図をより忠実に再現しつつ、工期、予算にズレがないように徹底的に施工管理が行われた。
一方、B社では、設計に関しては侃々諤々と議論がされている風であったが、実際は皆が評論家的に意見することに終始し、いざ施工に入ると責任の所在が曖昧で、工期どおりに建設が進むことがなく、トラブルの解決を買って出る者もいなかった。
いかがだろうか。A社とB社では、どちらが本来あるべき会議とその後の施工であるか、これは10人に聞けば間違いなく10人全員がA社と答えるだろう。しかし、多くの会社で不満が出ている「決まったことが実行されない」ケースの会議は、圧倒的にB社のようになってしまっている。
誰でも簡単にわかることなのに、なぜB社のような「実行されない」状態につながってしまうのだろうか?
会議で本質的に議論すべきこととは
「決まったことが実行されない」会議になりやすい原因は、もともとの会議の特性によるところが大きい。「会議とは何なのか」という本質的な部分を取り違えている人が意外と多く、それが「決まったことが実行されない」現象を生み出している。
会議は、数値進捗管理や情報共有を除けば、必ず何かを決めるために行われる。したがって、決めることが難しいものほど会議の議題としてふさわしい。