デジタル人民元が早ければ年内にも発行されそうだ。中国の「真の狙い」とは何か Photo:123RF

発行期待が高まるデジタル人民元
中国人民銀行は調査の完了を公表

 デジタル人民元の発行に向けた動きは着実に進んでいる。中国人民銀行は1月10日、フィンテックに関する自らの取り組みのレビュー「盤点央行的2019 金融科技」をウィチャットで発表した。トランプ大統領のツイッターでのつぶやきが注目されるように、中国人民銀行のウィチャットでの発表も重要なメッセージを含んでいる。

 中国人民銀行は、同レビューの中で、デジタル人民元について、「法定デジタル通貨の全体的な設計、規格の標準化、影響の研究、複数機関による調査実験が基本的に完了した」と公表した。

 中国人民銀行が、まもなくデジタル人民元を発行するという観測が強まったきっかけは、同行の穆長春・決済局副局長が昨年8月10日、黒龍江省伊春市で開かれたシンポジウムで「デジタル人民元は、呼べばすぐ絵の中から出てきそうな状況である(呼之欲出)」と発言したことにある。

 米国メディアのフォーブスは同月27日、元中国大手国有銀行の従業員の談話を基に、昨年年11月11日(通称独身の日、例年インターネット・ショッピングの大型セールの実施日)にデジタル人民元が発行されると報道。この報道により、デジタル人民元の発行観測がさらに強まった。結局、デジタル人民元は昨年11月に発行されなかったが、デジタル人民元を謳った金融商品がすでに出回ってしまい、中国政府は詐欺行為に対する注意喚起を余儀なくされた。

そう遠くないデジタル人民元の発行
早ければ年内にも発行される見込み

 もっとも、デジタル人民元の発行はそう遠くないとみられる。一部では、米フェイスブックによるリブラがすぐには発行できそうにないことを理由に、デジタル人民元の発行も遅れるという見方がある。しかし筆者は、仮に技術的あるいは政治的な制約によってリブラの発行が頓挫したとしても、中国政府はデジタル人民元の発行に向けた動きを着実に進めると考える。早ければ、年内にもデジタル人民元は発行される見込みである。