念のため説明すると、eスポーツとは「エレクトロニック・スポーツ」の略で、コンピューターゲーム、テレビゲームなどを用いて行うスポーツを指す。例えば対戦型のテレビゲームを用いて賞金付きトーナメントを開き、客は大型ビジョンでプロやアマが繰り広げる高レベルの対戦を有料で見て盛り上がる。米国、中国、韓国が“eスポーツ先進国”とされ、ソニー、任天堂、スクウェア・エニックス、バンダイナムコ、カプコンなど大手ゲーム会社が集積する日本は意外にも後れをとっている。

 日本eスポーツ連合は18年の国内eスポーツの直接市場規模を44億円、ファン数を382万人と推計。大会放映権料やスポンサー・広告費の増大で市場は一気に拡大し、それに伴ってファンも増えるとして、25年の目標値をそれぞれ約15倍の「600億~700億円」(波及効果を含めれば2850億~3250億円)、約7倍の「2300万~2600万人」と定めた。

 ちなみに日本eスポーツ連合によると、18年の国内スポーツ市場規模は、プロ野球が1800億円、サッカーのJリーグが1257億円、バスケのBリーグが303億円。同じくファン数はそれぞれ2555万人(観客動員数)、977万人(同)、259万人(同)。同連合の皮算用に終わらなければ、25年にeスポーツは市場規模で「Bリーグ超え、Jリーグ未満」、ファン数で「Bリーグ&Jリーグ超え、プロ野球並み」となる(eスポーツ以外の3種目は18年数値からほぼ変動ない仮定)。

 もちろん、現在は「机上の空論」。後述するように、課題は少なくない。

小池都知事の「揶揄」は氷山の一角
eスポーツに立ちはだかる様々なハードル

「日本、大丈夫かな(笑)」

 ソニー生命が19年8月に発表した男子中学生の意識調査(将来なりたい職業1位=ユーチューバーなどの動画投稿者、2位=プロeスポーツプレイヤー)を引き合いに、壇上で冗談交じりにそう話す小池百合子知事。それを聞いた、あるゲーム会社幹部は「ふざけるな!」と拳を握りしめた。