宗教団体に責任を
押し付ける文政権
感染者数の激増に直面している文政権は、責任を感じて対策に本腰を入れるどころか、他人に責任を転嫁しようと躍起になっている。
そもそも、文政権は発足当初から責任転嫁が多かった。経済政策と不動産政策の失敗など、他者へ責任転嫁した例は数え切れない。今回の新型肺炎についても、新興宗教団体「新天地イエス教会」に責任を転嫁している。
文大統領は23日、新型肺炎の危機段階を「警戒」から「深刻」に引き上げた。文大統領は、「新天地イエス教会集団感染前と後では全く状況が異なる」として同教会について七回言及し、「信者たちに対して特段の対策を取っている」と述べた。だが、政府の初期対応の失敗については言及せず、謝罪もしなかった。
その間に新型肺炎の感染拡大は進行しており、教会ばかりでなく、国会の休会や裁判所の休廷、慶尚北道亀尾市の工業団地内のサムスンやLGなどの企業の操業停止など、政治、経済、社会活動にも影響を及ぼしてきている。
韓国で最大の感染経路となった「新天地イエス教会」は、1月に教組の兄の葬儀を清道テナム病院で行ったが、この時、新天地の中国支部(武漢)から来た人も参列したといわれており、感染を広めた31番目の患者を含め多数がここで感染したようである。
感染が広がったのは、31番目の感染者が「新天地イエス教の大邱教会」の礼拝に参加した後、10人の感染者が確認された時からといわれ、この女性は検査を拒否しながら4回ミサに参加したようだ。また、病院内での感染も広がっている。
韓国政府は同教会から信者の名簿を入手し、ハイリスク群の信者から調査するとしているが、信者は全体で21万人に及ぶといわれており、同教会から新型肺炎を締め出すことは容易ではない。
さらに、8~16日に行われた天主教慶尚北道安東教区信者のイスラエル聖地巡礼から帰国した中からも、多くの感染者が判明した。この飛行機に乗務した大韓航空の客室乗務員にも感染が確認され、その後この乗務員は米ロサンゼルス便にも乗務していることが判明した。
2次感染、3次感染は起きないのだろうか。
宗教関係者に広がった感染は、韓国軍内部にも及んでおり、陸海空軍と海兵隊の将校クラスを含め13人の感染者が出ている。これを受けて韓国軍は7500人の将兵・軍務員を隔離する措置を講じるとともに、全国で野外演習を中止すると決めた。
サムスンとLGも大邱から通勤している人、確定患者と接触した人など2400人を自宅隔離や事務所立ち入り禁止にした。大邱最大の伝統市場では、2月25日から3月1日まで全面休場とすることを決定したが、これはSARSやMERSの時にもなかったことである。
韓国政府が責任を新天地イエス教会に押し付け、有効な対策を講じないまま、新型肺炎は次々と新しい集団を侵そうとしている。韓国政府が自ら責任を取り、思い切った施策を講じなければ、対策が後手に回ることになるだろう。政府の各部署や民間に対応を任せるのではなく、青瓦台が確固たるイニシアチブをとるべきである。それはあくまでも感染防止を最優先課題としたものでなければならず、選挙や中国への配慮はひとまず横に置くべきである。
文在寅大統領は、野党時代に朴槿恵政権を批判していた時に朴大統領が犯した同じ過ちを犯そうとしている。このことを、韓国国民はどう見ているだろうか。文大統領弾劾の請願が25日までで20万人を超え、その後2日で100万人に達した。ただ、これに対抗して、文在寅応援の請願も50万人となり、再び対立が激化している。